電子露店 目目

創作品を露店みたいに並べています。よければ見ていってください。

消極的三分間

 カップラーメンに電気ケトルの湯を注げば、拘束性を伴った三分間が発生する。別のことに移り気するには短く、ただ座して見つめ合うにはこの加速社会に置いて長い三分間。ゆえに、この私はたださしたることでもない、聞いていた音楽の視聴続行、開いていたスマホ画面の鑑賞続行という、時間の短さも長さもない、平坦化された三分間というものを過ごす。つまりは消極的三分間の消費。
この、日々の三分間を、あるいは三分間の日々を味わうたびに、形容するにはあまりにも格のない、消極的感覚が私の感性を平にする。

 この三分間に三分間の味はなく、実感にすれば40秒ほどの経過で、カップ麺というものは出来上がる。100円台の、味よし、栄養価悪しの昼食を取り込んでのち、私はまた私のすべきことを急いて再開する。時折音楽に気を取られながら、画面に時間を奪われながら。

 体感時間にして2分20秒の損失。一方で、即席麺が浮かせた時間と手間は回り回って文字となる。

 消極的三分間。積もり積もったそれが、添加物がふんだんなカロリーとなって、私を回す。